養蜂場日記
ニューフェイス
2008年3月30日 / 養蜂場日記
今年もまたモクレンが見事な花を咲かせました。甘い香りが周囲に漂っています。毎年、本格的な春の到来を告げる純白の花。この花が咲き出す頃には、巣箱の中では数千の新しい命が生まれ始めています。厳しい冬を乗り越えた昨年生まれの蜂に代わり、新しく誕生した蜂たちが、春から夏にかけての主役に躍り出てくるのです。咲き乱れる花々の間を飛び回り、花蜜を集める仕事に励むことになるのです。これからの季節、私達が目にするミツバチは、この春生まれた新しい世代のニューフェイスなのです。
オペラ座の蜂蜜
2008年3月8日 / 養蜂場日記
先日、友人がフランスからのお土産にオペラ座の蜂蜜を買ってきてくれました。パリオペラ座の屋根の片隅で飼っている蜜蜂達が集めた蜂蜜です。どんな味がするのか、興味深々でした。
片手に乗るような小さなビン、高さは10センチ程ですが、一つ2,000円もしたそうです。舐めてみると、不思議なハーブの味がしました。パリの街路樹マロニエの蜜でしょうか。
オペラ座の蜜蜂達も、一生懸命蜜集めに飛び回っていると思うと、何だかいとおしいような気持ちになりました。
春!!
2008年3月8日 / 養蜂場日記
待ちわびた春の到来です。冬の間、巣箱の中で胞球を作って越冬していた蜂達も、春の到来を心待ちにしていた事でしょう。
3月に入り、巣箱の中を点検しました。1群の漏れもなく、全ての巣箱の蜜蜂達が無事に越冬できた事を確認しました。とても嬉しいことです!そして気温が10度を超えると、蜜蜂は巣箱を飛び出し、蜜を集めに出掛けます。今日、その賑やかな飛行が見られるかも知れないと思うと、心が躍ります。
養蜂をやっていると、季節の移り変わりにとても敏感になります。そして、そんな生活ができる事にも感謝です。
越冬
2008年2月14日 / 養蜂場日記
蜜蜂は群のままで越冬して春を待ちます。冬眠するのではなく、巣箱の中で球状に密集し、体を小刻みに震わすことで熱を発して、凍えることなく、厳しい冬を乗り越えるのです。安全な越冬のために、養蜂家はとても神経を使います。
発熱のために体を動かすエネルギーの元は蜂蜜です。蜂は自分達の蓄えた蜜(貯蜜)を食べることによってエネルギーを得ているのです。外気温が低くなればなるほど貯蜜の消費は大きくなります。
越冬開始は年によって違いますが、昨年は12月初めに越冬に入りました。準備としては越冬に必要な貯蜜の量を確認し、足りない群には補充し、蜂数の少ない群は合同させることで、越冬に耐えうる群勢を整えます。そして、外装も写真のように、発泡スチロールに似た「スタイロフオーム」の外箱をすっぽり被せて、厳しい冷え込みや寒風を防ぐように工夫しました。
年明けの1月8日に内部検査(養蜂用語で内検という)をして、全群の越冬が順調に推移しているのを確認しました。寒さの厳しい間、女王蜂は産卵を中止していますが、立春の頃から再び産卵を開始します。今は静かに春の訪れを待つ蜂達。ゆっくり休養して、花の季節に思いっきり活躍してほしいと思います。
愛すべき隣人達 ~不如帰(ほととぎす)~
2008年2月4日 / 養蜂場日記
5月。養蜂家の一番忙しい季節。忙しく動き回りながら、思わずため息まじりに、「う る さ い な ~」 と呟いています。
おかしな声が聞こえるのです。どうも 「テ ッ ペ ン ハ ゲ タ カ」と言っているようです。
近年、頭頂部に異変を起こしている私には、とても気になる声なのです。犯人は? ホトトギス。例の他種の鳥の巣に卵を産む“托卵”でも有名な鳥です。大きな声で「テッペンカケタカ」と鳴く奴です。
彼らの声は、5月中頃から6月いっぱいぐらいまで聞くことができますー
いや、聞かされます。それこそ 一日中“テ ッ ペ ン ハ ゲ タ カ”です。
ケケ~ン ケケ~ン、ホーホケキョ ケキョケキョ、テッペンカケタカ
他にもトンビ、カラス、ホオジロ、カワラヒワ、コジュケイ などの ピーヒョロロ~、クワ~クワ~、ゲンペイツツジシロツツジ、ジュジュ~ンジュジュ~ン、チョットコイ チョットコイ などという鳴き声が混じりあいます。
本当に楽しく、騒がしく、陽気な山里の春がもうすぐ始まります。
愛すべき隣人達 ~鶯(うぐいす)~
2008年2月2日 / 養蜂場日記
春の訪れとともにやって来て、春とともに去って行く鳥―――うぐいす。そうです、うぐいすは梅の花が似合う小鳥なのです。でも、ここでは春とともに去っては行きません。ず~っと居座ります。梅雨時はおろか、梅雨が終って七月末になってもまだ鳴いている奴がいます。しかも、いつも複数のうぐいすが鳴いています。春たけなわの頃は、遠く、近く最低6~7羽が常時鳴いています。この時期、一日を養蜂場で過ごすと、家に帰ってからも、鳴き声が耳から離れず、頭の中はずっとホーホケキョ状態。
うぐいすの鳴き声に方言があるのをご存知でしょうか? 笑わないで下さいー本当にあるのです。ちゃんとした文献でも紹介されている事実です。基準となる鳴き声(標準語)は、東京の上野かどこかにある鶯谷(うぐいすだに)というところに棲むうぐいすの鳴き声だそうです。
そういえば、この辺ではうぐいすの鳴き方がちょっと変なのです。通常のホーホケキョという鳴き方に違いはないのですが、どこかアクセントやらイントネーションが違うのです。
でもいいじゃありませんか。“春宵一刻値千金”の春にさらに彩りを添えてくれる「わが方言うぐいす」に乾杯。
縄張り
2008年1月22日 / 養蜂場日記
春先から縄張り争い、メスをめぐる争いが頻繁に起きます。ある日、ゲケ~、ケケ~ケ~といういつもとは違う鳴き声の後、大きな羽音と共に木々の梢近くを30メートル程も飛んで藪の中に着地したオスがおりました。オス同士が喧嘩して、追われた方が必死に高く、遠く飛んだものと思われます。私の立っているすぐ近くの出来事でしたので、朱色の頬、首筋から胸にかけての紫がかった緑色の羽毛がとても鮮やかでした。動物園などで見る雉とはまるで別の生き物のような、生き生きとした姿に感動すら覚えたものです。
近くの農家の人の話では、初夏になると雛鳥を連れた雉をよく見かけるとのこと、昨年は機会がありませんでしたが、今年はきっと可愛いひな鳥を見ることができるでしょう。今から楽しみです。
愛すべき隣人達 ~雉(きじ)~
2008年1月22日 / 養蜂場日記
ケ~ン、ケ~ン、ケケ~ン ―――立て続けに鋭い、力のある声が蜂場を囲む林から聞こえてきます。そうです、雉(きじ)が鳴いているのです。「またやってるわ」と、思わず独り言が出てしまいます。このあたりにはいろいろな野生動物が生活しています。雉はとりわけ数が多いようです。
こちらがじっとして、無害な存在であることをアピールする時、オスとメスとでは明らかに態度がちがいます。そそくさと茂みの中に姿を消すメス、対照的にちらちらと後ろを見ながら、悠然とした足取りで歩み去るオス。腰高に背筋をしゃんと伸ばして歩く堂々たるオスの姿には気品すら感じます。日本の国鳥としての面目躍如といったところでしょうか?
仕事が終わって・・・
2007年12月7日 / 養蜂場日記
今日はうちの奥さんが愛犬を連れてやって来ました。
犬は絶対に養蜂場には入れません。可哀想ですが車の中で待機です。その代わりに、仕事が終わってから散歩に連れて行きました。
養蜂場の近くに、こんなに広々とした綺麗な場所があり、犬も伸び伸びと走り回り、大喜びです。
空が大きいなぁ~と見上げているところです。