養蜂場日記
女王蜂
2009年5月9日 / 養蜂場日記
各群には、必ず1匹の女王蜂がいます。女王蜂がいなければミツバチの群れは成立しません。
女王蜂が飛ぶのは一生の間にたった一回だけ。誕生後しばらくして、生涯唯一度の交尾飛行にでかけます。
20分間の飛行の後、巣に帰り、あとはただひたすら産卵に没頭します。春から初夏にかけての盛期には、一日に1000~2000個の卵を産みます。時には、3000個に及ぶ女王もいるそうです。
女王と言っても一生働き詰めで、誰よりも忙しい毎日なのです。
働き蜂が40~50日で一生を終えるのに対し、女王蜂の寿命は約3年、実に20倍以上長生きすることになります。中には5年ほど生きた記録もあるそうです。
人生80年の人間に例えれば、1600歳の人がいるということになります。働き蜂が口移しで与えてくれるローヤルゼリーが、この素晴らしい生命力の源です。
巣門の前は大混雑
2009年5月7日 / 養蜂場日記
仕事に出かけるハチ、仕事から帰ってくるハチ。
時々、ハチ同士の衝突事故が起こります。地面に墜落してもすぐに起き上がり、巣に駆け込むのもいれば、そのままボーッとして、しばらく動かないものもいます。
働き蜂たちは、一日中花から花へ飛び回って懸命に働いています。蜜嚢(みつのう)という胃袋に花蜜をいっぱいに詰め込み、両足には花粉ボールをつけて、時速30キロの速さで飛んで帰ってくるハチたちは、へとへとになっているのです。
花粉ボール2個で、働き蜂の体重の半分の重さがあるというのですから、無理もないですネ。
5月末に蜂の数はピークに達します。これから巣門のラッシュは、さらにエスカレートしていきます。
真夜中のユンボ?
2009年5月4日 / 養蜂場日記
養蜂場のすぐ横の空き地に、誰かが大きな穴を4つほど掘っていました。
どうもユンボで掘りまくったみたいです。犯人は誰?
近くの農家の人によると、大好きな葛の根を食べるために、イノシシ君が掘り起こすのだそうです。あっちの土手も、こっちの草原も掘り返されて、穴だらけになっています。
そういえば夏には、隣の空き地に葛が生い茂り、養蜂場に侵入したつるを何度も切って回ったことを思い出しました。
最近知り合った元猟友会員のベテラン老人によると、イノシシは雑食性で、何でも食べるとのこと。今回は、葛の根を食べながら、ミミズやモグラも探していたのだろうということでした。
鼻面で掘り起こすのだそうですが、それにしてもすごい力です。
人間の頭大の石も幾つか転がっていました。
夜行性なので、目撃したことはありませんが、我が職場のすぐ横で、100キロほどの巨体が動きまわっていたと思うと、ちょっと・・・
侵入者!
2009年5月3日 / 養蜂場日記
「痛い、痛い、許して」「オラッ 他人の領分を侵す奴はこうしてやるっ」「俺にもやらせろ」「こいつめ こらしめてやる」
という会話があったかどうかは分かりませんが・・・とにかく侵入者には厳しい制裁が加えられます。
養蜂場には沢山の巣箱が並んでいます。中には帰るべき巣箱を間違えて、写真のような事件を引き起こすミツバチがでてくるのです。
そうなると、よってたかっての袋叩き状態です。
自分達のコロニーを守り、存続させるためには、一片の妥協も許されないのです。
勿論、ミツバチ以外の侵入者や外敵も同じような目にあわされることになります。
お地蔵さん
2009年5月3日 / 養蜂場日記
5月1日 気温23度、快晴、無風。
ミツバチにとって最高の気象条件は、人間にとっても同じ。あまりに清々しいので仕事は中断、近くのレンゲ畑でお地蔵さんになりました。
耳を澄ませば、沢山の鳥のさえずりが遠く近くに聞こえます。見上げれば、雲ひとつない紺碧の空にトンビが舞い、のどかにピ~ヒョロロ~とやっています。
私の目の前20~30センチのところまでミツバチが飛んできて、一心不乱に花の蜜を集めています。レンゲの花は6~8個の小さな花が放射状に集まって一つの丸い花の形を作っています。そのひとつひとつを、順番にせわしなく、ぐるりと歩き回り、蜜を集めています。1メートル四方に7~8匹のミツバチが飛び回っています。田んぼ全体がブオ~ンという羽音に包まれ、何とも言えない心地よい“けだるさ”に引き込まれていきます。
周囲の林も色鮮やかな新緑に覆われて、見えるもの、聞こえるもの、全てが生命力に満ち溢れています。大好きな季節を、大好きなミツバチと共に過ごせる幸せを存分に味わった一日でした。
すみれの蜂蜜?
2009年4月26日 / 養蜂場日記
養蜂場の近くの田んぼの土手にすみれの花が咲いていました。
宝塚歌劇のシンボルソングは「すみれの花咲く頃」♪
宝塚市の市花は「すみれ」です。
歌劇ファンや宝塚市民にとって、すみれは愛着のある花です。
でも、この時期、ミツバチ達はひたすら山桜とレンゲに通いつめ、すみれには目もくれません。
すみれの蜜が採れたら、どんな味の蜂蜜になるのでしょう・・・
朝の養蜂場
2009年4月23日 / 養蜂場日記
朝、養蜂場のフェンスを開ける時は、いつも何となく緊張します。
4月22日午前8時。昨日の低気圧の影響で、風が強く、肌寒い平年並みの気温ということで、蜂の出入りも余り多くありません、静かな養蜂場です。
ミツバチにとっては、気温20~25度、快晴、無風というのが理想的な状態なのです。
そんな日には、養蜂場に近付いただけで、何百万匹もの羽音が、ブオ~ン!と、地響きのように迫ってきます。
ヨーシ!今日はみんな勢いがいいぞ!と思うと、こちらの気持ちも高揚してきます。
花粉
2009年4月23日 / 養蜂場日記
花粉はミツバチの子育てに必要不可欠なものです。花粉がなければ子育てはできません。
ミツバチは、花粉を足の袋に入れて運びます。ミツバチを見つけたら観察してみて下さい。足に黄色やオレンジ色の丸いボールをくっ付けているのが分かると思います。春・秋の花の多い季節に、どんどん蓄えていくのです。
蜂具の一つに、花粉採取器というのがあります。巣門に取り付けて、ミツバチが両足につけてくる花粉ボールをこそぎ落とすものです。
短時間に驚く程の量が集まります。
この花粉を分析することで、その時点でミツバチ達が訪れている花が分かり、蜜の源が特定できるのです。
山桜
2009年4月20日 / 養蜂場日記
ソメイヨシノが散って若葉に覆われる頃、山桜に出番が回ってきます。
長い年月をかけて自然交配を繰り返し、その種類は200以上ともいわれています。
四月の末まで次から次に咲き、淡いピンクの彩りが山里の林にどんどん広がっていきます。
華やかで皆から愛でられるソメイヨシノと違い、ひっそりと咲き、そしていつの間にか散っていく山桜。
養蜂場の近くにある大きな山桜も今が満開です。