養蜂場日記
おはよう!
2009年6月11日 / 養蜂場日記
午前4時30分。夜明け前、まだ薄暗い。
ウグイス、メジロ、コジュケイ、ホオジロなど多くの鳥たちは、すでに朝の合唱を始めています。
今日は蜜を搾る日です。
ミツバチ達は夜間、一斉に羽根を震わせ、昼間集めた蜜の水分をとばす作業に専念します。
そうすることによって蜜の糖度を上げ、さらに多くの蜜を蓄えることが出来るようになるのです。
糖度が高く、より甘くて美味しい蜂蜜を採るためには、早朝に採蜜することが不可欠となります。
この時期になると、蜂の数は年間のピークに達します。
気温も高くなり、巣箱の中に納まりきらない蜂たちは、写真のように巣門の周辺に群がって夜を過ごすようになります。
そして又、日が昇り、明るくなるとともに、彼等の忙しい一日が始まるのです。
あの山の向うに
2009年6月8日 / 養蜂場日記
我が家から眺める長尾連山。
麓には聖徳太子により建立された中山寺があり、安産祈願のために、全国から多くの人々が参拝に訪れます。
宝塚市は、この峰々を境に、繁華な南部と、静かな北部山里地帯とに分かれます。
養蜂場は北部の緑溢れる山里にあります。
さわやかな新緑の広葉樹林の中を車で走ること約30分で、養蜂場に着きます。
南部の喧騒からは想像できない、落ち着いた雰囲気の北部の山間地区。
ミツバチ達は、澄み切った大気の中を自由自在に飛び回って蜜を集めてきます。
養蜂場に行けない日には、連山の彼方の空を眺めながら、ミツバチ達の無事を祈っています。
住宅地に水鳥
2009年6月6日 / 養蜂場日記
我が家の周囲には灌漑用の池がたくさんあり、いろいろな水鳥が集まってきます。
その昔、征夷大将軍の坂上田村麻呂が開いた土地ということで、歴史も古く、格式の高い古い神社もたくさんあります。
家のすぐ近くを流れる、川幅5mほどの川には“天神川”という何となく歴史を感じる名前が付けられています。また、少し離れた所には”天王寺川”と言う流れがあり、こちらも緑の堤が綺麗な川です。
綺麗に整備され、桜並木の続く堤は格好の散歩コース。
愛犬“テッチャン”と散歩している時、写真のような光景に出会いました。
人と水鳥が共存している、そんな雰囲気がいっぱいの土地なのです。
郷愁を誘う赤い実
2009年6月2日 / 養蜂場日記
養蜂場の一角に2本のグミの木があります。今年も沢山の実をつけました。
グミの実には幼い頃の思い出がいっぱい詰まっています。
○ちゃんや△君たちと一緒に、夢中になって食べた甘酸っぱいグミの実。
あの時から長い年月が過ぎました。みんな元気かな~?
養蜂場を作る時、真っ先に植えたのがグミの木でした。
ミツバチとグミは幼い頃の思い出の中で、とても大きな部分を占めています。
夏は来ぬ♪
2009年5月30日 / 養蜂場日記
「卯の花の匂う垣根にホトトギス早も来鳴きて~忍び音もらす夏は来ぬ~♪」大好きな歌です。
養蜂場の隅に植えてあるウツギの白い花(卯の花)が咲く頃、決まってホトトギスの鳴き声を耳にするようになります。
先日(5月23日)、その初音が聞こえてきました。
一年ぶりに聞く懐かしい声です。「テッペンカケタカ」と聞きなすそうですが、どうしても「テッペンハゲタカ?」に聞こえてしまいます。
つい「よけいなお世話、まだ大丈夫だよ!」と叫びたくなります(笑)
7月の初め頃まで、毎朝、ホトトギスの「テッペンハゲタカ?」で始まる日々が続きます。
貴賓室
2009年5月28日 / 養蜂場日記
蜂の巣にピーナッツ? いいえ、これは「王台」といわれる女王様の揺りかごです。
次世代の女王の幼虫がこの中で育っています。
産み落とされた卵から女王蜂になって出てくるまで16日間。
旧女王は新しい女王蜂が出てくる2~3日前に、3分の一ほどの働き蜂を引き連れ、新天地を目指して巣を後にします。これが“分封”もしくは“分蜂”といわれる巣別れの行動です。
5月の連休明けの頃から王台の数が増えてきます。養蜂家にとって、この時期の分封は採蜜のための戦力低下につながり、どうしても阻止しなければなりません。
絶えず、内検といわれる巣内部の検査が欠かせません。
“蜂かぐら”状態の中、何十群もの内検は大変ですが、養蜂家なら、必ず一年に一度、通過しなければならない関門です。
素敵な建築家
2009年5月26日 / 養蜂場日記
これは一体何でしょう? しゃもじ? 靴べら? パン?
正解は蜂の巣です。
作業の都合上、私が巣枠の間を広げました。その広がった空間に、ミツバチ達が1昼夜で作り上げたものです。
養蜂家はこれを“ムダ巣”と呼びます。文字通り何の役にも立たない巣ですが、その造形の巧みさには驚かされます。
幾何学的に正確に配置された六角形の巣房、そして表裏の巣房は重ならず、それぞれの3辺の交差部分が底部の中心に来て、お互いを強化するように作られています。
設計図もなければ、現場監督もいません。ただただ何百、何千の働き蜂が群がって仕上げていくのです。
“神秘の昆虫”といわれる所以です。
スズメバチ女王!
2009年5月22日 / 養蜂場日記
長く日記の更新を休んでしまいました。この時期は養蜂家にとって、一年で一番忙しい季節なのです。
フルフェイス、しかも鎧で完全武装。
養蜂家にとってはとても厄介な存在であるオオスズメバチ。女王蜂だけが、枯れ木の割れ目や落ち葉の下で越冬し、暖かくなると活動を開始します。最初は女王蜂自ら巣作り、子育てを行い、狩りにも出かけます。
そのうちの一匹がミツバチを狙って養蜂場にきたようです。10日ほど前、巣箱の前にいたものを捕らえたものです。体長約5センチ、他のオオスズメバチより濃い目の体色、動きがゆったりとしています。
この時期の女王蜂1匹の捕獲は、数百匹のオオスズメバチの捕獲に匹敵するほどの価値があります。オオスズメバチのコロニーは500~1000匹ほどで構成されています。狩蜂である彼等は様々な昆虫は勿論、他種の蜂類も襲います。ミツバチの巣も例外ではありません。大挙して襲われた場合、2~3時間で約4万匹のミツバチのコロニーが全滅してしまいます。
秋風が吹き始めて、野外の獲物が少なくなる頃になると、養蜂場にやってくるオオスズメバチの数が増えてきます。宝塚はちみつでは様々な工夫を凝らして、彼等の攻撃からミツバチを守っています。秋も深まる頃には、毎日、30匹ほどを退治しています。
女王蜂
2009年5月9日 / 養蜂場日記
各群には、必ず1匹の女王蜂がいます。女王蜂がいなければミツバチの群れは成立しません。
女王蜂が飛ぶのは一生の間にたった一回だけ。誕生後しばらくして、生涯唯一度の交尾飛行にでかけます。
20分間の飛行の後、巣に帰り、あとはただひたすら産卵に没頭します。春から初夏にかけての盛期には、一日に1000~2000個の卵を産みます。時には、3000個に及ぶ女王もいるそうです。
女王と言っても一生働き詰めで、誰よりも忙しい毎日なのです。
働き蜂が40~50日で一生を終えるのに対し、女王蜂の寿命は約3年、実に20倍以上長生きすることになります。中には5年ほど生きた記録もあるそうです。
人生80年の人間に例えれば、1600歳の人がいるということになります。働き蜂が口移しで与えてくれるローヤルゼリーが、この素晴らしい生命力の源です。
巣門の前は大混雑
2009年5月7日 / 養蜂場日記
仕事に出かけるハチ、仕事から帰ってくるハチ。
時々、ハチ同士の衝突事故が起こります。地面に墜落してもすぐに起き上がり、巣に駆け込むのもいれば、そのままボーッとして、しばらく動かないものもいます。
働き蜂たちは、一日中花から花へ飛び回って懸命に働いています。蜜嚢(みつのう)という胃袋に花蜜をいっぱいに詰め込み、両足には花粉ボールをつけて、時速30キロの速さで飛んで帰ってくるハチたちは、へとへとになっているのです。
花粉ボール2個で、働き蜂の体重の半分の重さがあるというのですから、無理もないですネ。
5月末に蜂の数はピークに達します。これから巣門のラッシュは、さらにエスカレートしていきます。