養蜂場日記
新女王
2010年5月10日 / 養蜂場日記
事故や急死で女王蜂を失った群は、すぐに対策を取ります。
次の女王を誕生させるために、急遽、普通の巣房にいる何匹かの幼児を女王候補として選び、「変成王台」といわれる女王育成専用のものに作り変えます。
その中の幼児は、ローヤルゼリーだけをふんだんに与えられます。生まれ出た女王は、体の大きさは働き蜂とさほど変わりませんが、体型や体色は明らかに違います。
数日すると、彼女は「婚姻飛行」と呼ばれる、生涯ただ一度の空中飛行を行います。
その後1~2日で、体は働き蜂の1.5倍、時には2倍ほどの大きさになり、体色は鮮やかなオレンジ色になります。これは、産卵準備が整ったという証拠。ほとんどの女王がすぐに産卵をはじめます。
若く、生命力に溢れる新女王の産卵力には目を見張るものがあります。
空いている巣房という巣房は、彼女の卵で埋め尽くされてしまいます。
この女王(写真中央)が、まさしくその典型。生まれ出て3日目で婚姻飛行に飛び出し、その2日目からすぐに産卵を始めました。
これは非常に進行の早かった例です。
桜の花?
2010年5月7日 / 養蜂場日記
ウワミズザクラ。名前も花も一般には馴染みの薄い樹木ですが、れっきとした桜です。
染井吉野に続く山桜、その後に咲き出す桜です。
養蜂家にとっては、美味しい蜜を提供してくれる有り難い存在。庭木や街路樹としてはあまり見かけませんが、雑木林では、あちこちに自生している、極めてありふれた樹木です。
一見桜の花には見えない、独特の白い花を咲かせます。
関西では六甲山系を中心に多く自生しています。
5月に入って、淡い黄色の花粉ボールを付けたミツバチが帰ってくるようになった時は、どこかでこの桜が咲きだしたということ。
2日ほど前から、この花粉ボールをつけて帰ってくる蜂が目立つようになりました。
いっせいに開花したようです。
青空・雲雀・ミツバチ
2010年5月3日 / 養蜂場日記
巣箱の内検(内部検査)は日課のひとつ。
養蜂日和(勝手に名付けた、気温15度から25度、風もなく、雲もなく、抜けるような青空の晴天)の日、何万匹もの蜂神楽の中で、内検に没頭する養蜂家の耳に、遥か上空から雲雀の歌が聞こえてきます。
思わず見上げる青い空には、我が家のミツバチ達が吸い込まれるようにして飛び立っていきます。
言葉にできない喜び、感動をまるごと身体で感じる瞬間です。
山桜満開
2010年4月29日 / 養蜂場日記
華やかなソメイヨシノとは対照的に、地味な印象の強い山桜。
しかし、冬枯れの残る山腹を、ほのかに白く彩る様子はなかなか風情があります。
今が見ごろの山桜は、養蜂家にとってはとても有り難い存在。
採蜜準備が整った頃に満開となり、たっぷりの花蜜を提供してくれるからです。
大敵は雨と強風。天気予報とにらめっこの毎日が続きます。
完成!二階建て住宅
2010年4月27日 / 養蜂場日記
“ミツバチ城”の完成です。
上は食料庫(蜂蜜を貯める)、下は生活空間(産卵・子育て)としての機能をもっています。
これから5月末まで、ミツバチの数はさらに増えていきます。
養蜂家の仕事もどんどん増えていきます。
一年で一番忙しく、充実する時を目前にして、養蜂家は静かな闘志を燃やしています。
秘密の場所
2010年4月25日 / 養蜂場日記
食べごろまであと3~4日。
山菜の王様といわれる“タラ”の芽の小さな群落が、数箇所あります。
今のところ、「私だけの場所」として、毎年、籠いっぱいの収穫を楽しんでいます。
自然からの素晴らしい贈り物“春”、その爽やかな大気の中で大好きなミツバチ達と一日を過ごし、夕方は“山菜の王者”を肴に冷えたビールで喉を潤す時、あらためて養蜂にたずさわる身の幸せを感じます。
あと一ヶ月!
2010年4月23日 / 養蜂場日記
グミの花が満開です。
養蜂場の隅に植えてある2本のグミの木が、今年も沢山の花を付けました。“びっくりグミ”という名前の通り、大粒の実をたくさんつけます。
ミツバチたちもこの花の蜜が気に入ったらしく、職住接近とばかりに頻繁に訪花しています。
5月末から6月上旬にかけて、真っ赤に熟した甘酸っぱい実を楽しめます。
ミツバチの世話をしながら、次から次に熟してくる実を味わうのも、毎日の養蜂場通いの楽しみの一つです。
過密都市?
2010年4月21日 / 養蜂場日記
2万5千~3万匹のミツバチ達がひしめき合っています。どこかの駅のラッシュ時間みたいです。
二階を継ぎ足さなければいけない時がきたようです。
そうです、いよいよ採蜜の準備に入るわけです。
二階部分の継箱は貯蜜専用の巣箱。
我が家の頼もしいミツバチ達の、真価発揮の時が目前に迫っています。
みんな頑張れ~!
続・桜満開
2010年4月10日 / 養蜂場日記
家から養蜂場まで車で走る道すがら、どこを向いても桜、桜の道中は、とても楽しく短く感じられます。
染井吉野が散った後はすぐに山桜が咲き出します。
種類の多い山桜は、それぞれの咲き出しの時間差が大きく、3週間ほどは花が絶えません。
天気の良い日が続けば、巣箱にはたっぷりの桜の蜜がたまります。
養蜂場近くのお寺には数十本の桜の木があり、毎年我が家のミツバチ達がお邪魔することになっています。
今年も予定通り、今を盛りの桜の花園で大宴会の日々。
樹の下に立つと、彼等の羽音が一つになって頭上から降ってきます。丹精込めて育ててきたミツバチ達の“歓喜の声”です。
養蜂家が胸を熱くするひと時でもあります。