養蜂場日記
難攻不落の巣箱
2010年9月14日 / 養蜂場日記
養蜂家にとって“熊”と“オオスズメバチ”は実に厄介な存在。宝塚はちみつの養蜂場一帯に熊は生息していませんが、オオスズメバチは他所に勝るとも劣らないといった状態。
毎年、お盆を過ぎて涼しい風が吹き始める頃、野山に餌となる昆虫が少なくなってくると、手っ取り早い狩場として養蜂場にやってくるようになります。
単独で来る場合は大したことはありませんが、数十匹の集団で集中的に襲われると、目標にされたミツバチの群は短時間で全滅することになります。対応策なしで秋季を乗り切ることはまず不可能です。
市販されている対策器具として“スズメバチ捕殺器”、“粘着紙”などがあります。どちらも有効ではありますが、完全ではなく、さらに一工夫が必要となります。
宝塚はちみつではスズメバチ捕殺器に、さらに独自の補助器をつけて養蜂場開設以来、被害ゼロ。全群が完全に要塞化された状態(写真)になっており、秋も深くなってくる10月頃には、毎日、20匹ほどを捕獲しています。
巣から離れて活動している時のオオスズメバチは、さほど、というよりはほとんど攻撃性を示しません。ただし、自分たちの巣に近付くものに対しては徹底的な攻撃をしかけてきます。テレビや新聞で報道されるスズメバチの被害がほとんどこれに当てはまります。
養蜂場にくるオオスズメバチを叩き落とすこともありますが、反撃されたことはほとんどありません。ひょっとするとオオスズメバチは内弁慶か?
今年もまた“秋の陣”が始まろうとしています。
遂に出た!
2010年9月12日 / 養蜂場日記
全国的に野生動物による農作物の被害が大きくなっているようです。イノシシ、鹿、猿、野うさぎ、アライグマ、ハクビシンなどがその代表格と言えるでしょう。
養蜂場周辺ではイノシシやアライグマの被害は耳にしても、猿については聞いたこともなく無縁のものと思っていましたが、今日(8月31日)、白昼に目撃してしまいました。
養蜂場から2キロほどの県道を走っている時、車の前を横切る見慣れないものがいたのです。どう見てもニホンザルです。細い横道に入っていったので、車を停めてみると10メートルほど先を歩いていく後姿が目にはいりました。
クラクションの音にゆっくりと振り向いて、「何だよ~」とばかりにじっと見つめてきます。思わずそのまま数秒間の“見つめ合い”。
後続の一台の車が不審げに停まりました。クラクションを鳴らされる前に発車しました。
猿を目撃するのは養蜂場開設以来初めてのことです。
多分、オスの離れ猿ではないかと想像しますが、ということは、近くではないにしても一帯のどこかに群れが生息しているということになります。
先日から“離れ猿”に沢山の人が噛み付かれたというニュースが流されています。私が目撃した猿は凶暴そうには見えませんでしたが、少し気になっています。
飲み込んじゃうぞ!
2010年9月10日 / 養蜂場日記
お隣で菜園をやっているSさんからゴーヤを頂きました。
うちで育てた物とは違い、沖縄のゴーヤ特有のずんぐりした体型?見事な大きさです。
家に持って帰ると、早速新しい物好きの哲平が興味深々でやってきました。
大きさを分かって貰うために、並べて記念撮影です。
哲平は、自分には食べられないと分かるとさっさと興味を無くし、カメラに向かって何度も大あくび。
大きなゴーヤを丸ごと飲み込んでしまいそうな見事なあくびでした。
これは何?
2010年9月10日 / 養蜂場日記
真っ赤に熟したラズベリー・・・ではありません。
この前の“熟れすぎたにがうり”の種なんです。見事なまでに真っ赤に色づいています。
恐る恐る口に入れてみてビックリ!なんと甘くて美味しい!柔らかい果実のようです。赤くて甘い部分が口の中で溶けて、中から固い種が出てきました。
カボチャの種を小さくしたような、長さ1センチくらいの平たい形をしています。
来年はこれを植えてみましょう。
ニガウリの晴れ姿
2010年9月8日 / 養蜂場日記
スーパーに並んでいるニガウリのほとんどが、いわゆる“沖縄ゴーヤ”と呼ばれるずんぐりとした種類。
しかし、九州南部(鹿児島、宮崎)では昔から“薩摩にがうり”という長くスマートな種類が栽培されており、子供の頃には油いためや焼いたものをよく食べたものでした。
沖縄ゴーヤとは微妙に違う味が懐かしく、ホームセンターでたまたま見つけた薩摩ニガウリの苗を、養蜂場の片隅に植えたのが5月の連休明け。
5本の苗はぐんぐん育ち、この夏は懐かしい味を堪能することができました。
葉っぱの陰に取り残したものがあり、いつの間にか熟して見事に色づき、まるで花が咲いたようです。
「見て!見て! これが僕の本当の姿なんだよ」とでも言っているかのようです。ニガウリとはいうものの、ほのかな甘味のある“果実”?に変身していました。本来は果実として熟したものを食べていたのかもしれませんね?
猛暑とミツバチ
2010年9月6日 / 養蜂場日記
ミツバチにとって“寒さ”“暑さ”は害敵以上に要注意。特に最近の”猛暑”と呼ばれる異常高温の夏はとても気を使います。病気や寄生虫が発生しやすくなるからです。巣箱はもちろん養蜂場全体の風通しをよくして、余分な湿気が溜まらない様にすること、巣箱に直射日光が当らないようにして、巣箱内の温度の上昇を抑えること等、きめ細かな対応が要求されます。
養蜂は自然の変化に敏感な分野です。昨今の地球温暖化の影響をもろに受けています。ミツバチの成育はもちろん、蜜源植物の生育にも絶えず注意を向けていなければなりません。
今年は春以降の長雨と5月まで居座った異常寒波が、蜜源に大きな打撃を与えました。開花が遅れるのはいいとして、開花しなかったり、極端に花が少なかったりして、養蜂家にとってはハラハラドキドキの季節となりました。古典的な養蜂の技術・知識では対応できないような事態も出てきています。
でもご安心下さい。細心の注意を込めて世話をしているためか、この猛暑の中でも宝塚はちみつのミツバチ君たちはとても健康で元気です。来年の春を目指して、群の強化を始めています。
通常は暑さのため夏の一時期産卵を停止する女王蜂が多いのですが、ほとんどの女王蜂がどんどん産卵しています。働き蜂の数も写真のように5月、6月の盛期に近い状態。来年の活躍が楽しみです。
キツネが出た!
2010年9月4日 / 養蜂場日記
5月下旬、蜜源の状況を調べながら養蜂場周辺を歩き回っていた時、草原に犬が腹ばいになって休んでいるのが見えました。距離10メートルほどのところです。
シェパードのような毛色、でも体は少し小さい感じです。何となく様子が違います。ひょっとしたらキツネかも?と思った瞬間、そいつが振り向いたのです。
“切れ長の目”と思う間もなく立ち上がり、ゆっくり走り出しました。ふんわりとした尻尾が妙に印象的です。
“キツネ”だと確信した瞬間でした。“タヌキ”には何度も出くわしましたが、“キツネ”は初めてです。
知り合いの元猟友会員の老人に確かめたところ、間違いなく“キツネ”とのこと。決め手は立ち去り際にちらりと振り向いたこと、尻尾がふんわりしていたことでした。どちらも野生のキツネの特徴だそうです。
そういえば、近くの農家でニワトリの放し飼いをしている所が無いことを、日頃から不思議に思っていました。必ず頑丈なケージの中で飼っています。おそらくキツネやイタチに襲われるからなのでしょう。納得。
宵待ち草
2010年9月2日 / 養蜂場日記
毎年、お盆の頃になると咲き出す野の花。
歌はもちろん、短歌、詩、小説でもよく取り上げられ、馴染みが深い花、でも実物を知らない人も多いのではないでしょうか。
名前は知っているが、実物は見たことがない~情報化社会ではよくあることですが、宵待ち草に関しては、養蜂場を開設するまで私もそんな一人でした。
夏場は日中の暑さを避け、できるだけ早朝の涼しい時間に仕事を始めるようにしています。
以前、空が白み始めた頃に養蜂場に着いた時のこと、車を降りた私の目に最初に飛び込んできたのは、草むらに咲く可憐な黄色の花でした。
薄明かりの中、何とも言えない風情を漂わせています。
強烈な印象でした。真昼ではなく、薄明かりが似合う花・・・だから“宵待ち草”
納得!
ツクツクホウシ
2010年8月30日 / 養蜂場日記
面白い呼び名ですね、何か“由来”がありそうです。調べてみました・・・何もないそうです。
ただただ鳴き声からきた名前だそうです。
“ツクツクボウシ”ではなく、“ツクツクホウシ”だそうです。個人的には今まで“ツクツクボウシ”とよんでおりました。ちょっと恥ずかしいですね。
でも一つだけ新しい知識を身につけました。“ツクツクホウシタケ”とよばれる冬虫夏草があるそうです。
蝉の幼虫に寄生する“菌類”で、幼虫を栄養源として成長するキノコがその正体。
養蜂場周辺にはたくさんの冬虫夏草があるかも知れません。
冷房のきいた部屋でごろごろと昼寝ばかりしている“哲平”(愛犬)を連れて“キノコ狩り”でもやってみましょうかね?
ヘチマと青瓜
2010年8月22日 / 養蜂場日記
養蜂場の片隅にほんの数本、ヘチマ、ゴーヤ、きゅうりを植えました。食用にするのはもちろんですが、緑陰を作る目的もありました。
ヘチマのつるが伸びて、前回書いたヨシズ用のパイプに絡まり、狙い通りの緑の陰を作ってくれました。パイプにノンビリとぶら下ったヘチマです。
通常タワシにしたりするものですが、南九州ではヘチマの若い実を食べます。皮をむいて輪切りにし、油いためや味噌汁にすると、何とも言えない爽やかな歯ざわりと独特の風味があり、なかなか美味しいものです。こんな時は夫婦の出身地が近く、食習慣が同じである事に感謝です。他県の方にはヘチマを食べるなど考えられないでしょうから。
ところが、3本植えたヘチマの苗の1本に、明らかにヘチマらしくない濃い緑色の実が生りました(写真左)
冬瓜を小さく固くしたような物ですが、正体不明です。
ある日、農家の軒先の野菜販売所でそっくりの実を見つけました。聞くと「青瓜」とのことで、漬物にするそうです。苗の段階で間違って売られていたのでしょう。
家内に味噌漬けにして貰いましたが、これが実に美味しい!怪我の功名とでも言いましょうか、来年は「青瓜」と名指しで買う事にします。