養蜂場日記
越冬準備
2010年11月15日 / 養蜂場日記
晩秋の養蜂場では、ミツバチも養蜂家も越冬準備に余念がありません。
この秋生まれのミツバチたちが越冬を担当し、ひとつの群れとしての命をつないでいきます。
真冬の厳しい寒気の中、巣箱の中では蜂球とよばれるミツバチの団塊が形成されます。
数千、数万のミツバチが小刻みに羽と体を震わせて熱を発生させ、巣箱内部の温度を上げることによって寒さから群全体を護るのです。
体を動かすエネルギーの元は、彼等が秋の花から集めて貯蔵した蜂蜜です。この蜂蜜の貯えが充分でなければ冬を越すことはできません。
ですから、宝塚はちみつでは秋の蜜は採りません。すべてミツバチの越冬用の飼料として、彼等の自由にまかせているのです。
大好きな木達
2010年11月13日 / 養蜂場日記
前回、植物がなければ人間は生きていけないということを書きました。
「植物は生態系の生産者であり、人間は消費者、正しくは植物に寄生している。」これは、植物生態学者である宮脇昭さんの言葉です。宮脇さんは、40年にわたり国内外1700ヶ所で地域の人たちと4000万本の植樹をし、「世界で最もたくさんの木を植えた男」と言われています。
我が家の周辺はとても緑の多い所で、それが気に入っていました。
ここに居を構えてから、大好きなお気に入りの木達があちらこちらにできました。
しかしある日突然、それらの木々が姿を消し、マンションの鉄骨が現われる・・・そういう事が頻繁に起こるようになり、瞬く間に殺風景な景色が広がっていきました。
枝いっぱいに赤紫の花を付け、春の訪れを知らせてくれたマンサクが、他の桜に先駆けて薄桃色の花を咲かせてくれた角の畑の桜の木が、女神のように凛とした姿を青空に浮かべた泰山木の花が、次々に消えていきました。
何年も何十年もかけて育った木たちが、ある日音もなく姿を消す~
あの木達は確かに生きていたのに・・・
養蜂家妻 記
最後の贈り物
2010年11月9日 / 養蜂場日記
この春、真夏の養蜂場に緑のカーテンを作ろうと、野菜の苗を植えました。
その中にたった1本植えたかぼちゃも、沢山の実を付けて食卓を賑わせてくれました。
もう秋も終わり、そろそろ葉も枯れてきたので最後の収穫です。
まだこんなに沢山の実を付けています。小ぶりですが、栗のようにホクホクして甘くて美味しいんです。
養蜂場の周辺では野菜や果物の実付きが良いと感謝されています。我が家のミツバチ達が働いてくれているのでしょう。
ミツバチがいなくなれば、世界中の植物の80パーセントが枯れ果ててしまう、と言われています。その結果人間も生きていくことができなくなるそうです。
小さな体のミツバチ達が、そんな大きな働きをしてくれているんですね。
一生懸命に飛び回っている姿を見ていると、たまらなく愛おしくなります。
ミツバチと自然からの、この季節最後の贈り物・・・美味しい煮物やサラダにしてありがたく頂きます!
酒米の郷
2010年10月29日 / 養蜂場日記
宝塚市と境を接する三田市は全国的なブランド酒米(山田錦)の郷として知る人ぞ知る存在です。
酒米の刈入れは一般米より遅く、10月半ば頃に行なわれます。引く手あまたの酒米は三田で収穫され、全国各地に出荷されるのだそうです。
養蜂場で必要となる資材は、全て三田市内のホームセンターで調達しています。(地理的に三田市内のセンターの方が近い)
道中、周囲はすべて、酒米の水田という地域を通過することにもなります。
日本の酒の“源流地域”でハンドルを握っているという気分~~~日本酒愛好家として悪い気はしません。
変身~?
2010年10月24日 / 養蜂場日記
これはまた一体どうしたのでしょう?
オオスズメバチ捕獲器に捕らわれているのは カ マ キ リ です・・・変身か?
時々起こることですが(この日は他の捕獲器にも一匹入っていました)この中にオオスズメバチが入ってきたらどうなるのでしょうか?
写真のカマキリ君は自分の置かれた立場を全然理解していない様子。周囲に飛んでくるミツバチを捕まえようと両手の鎌を振り回しています。
以前、テレビでオオスズメバチとカマキリの闘いを見たことがあります。
一方的にオオスズメバチの勝利に終わりました。毒針で刺されたカマキリ君はあっという間にKO負け。
カマキリくん~ そんなことしている場合じゃないよ、やばいよ、怖ろしい仮面ライダーに肉ダンゴにされちゃうよ。
注:正面から見たオオスズメバチは仮面ライダーにそっくりです。
写真のカマキリ君には、隣の空き地の草むらにそっと軟着陸してもらいました。
山里のヤンチャ坊主
2010年10月22日 / 養蜂場日記
2日間をかけたレンゲの種まきを終え、あぜ道で来春の開花に思いを馳せている時のことでした。
黒褐色の小柄な生き物がいきなり出現しました。4-5メートルのところにある用水路の小さな土管から半身を乗り出してきょろきょろと辺りを見回しています。
どこからどうみてもそいつは“イタチ”です。
そのうち全身を地上に現しました、そのまま私の方をジッと見ています。
逃げるのかなと思った瞬間、いきなりピョ~ンピョ~ンという感じでジャンプして私の足もと1メートルほどのところにある、深さ25センチほどの空用水路に飛び込んできたのです。
用水路を伝って走り去ったもの、と思ったのもつかの間、そいつは二本足で立ち上がって私を見上げているではありませんか・・・至近距離での見詰め合いです。
後から思い出して可笑しかったのですが、なにか胸がドキドキします。
キョトンとした顔でじっと見ています。私もまた動いてはいけないなという思いで身動き出来ない状態です。
案山子になった私と“イタチ君”との奇妙な見つめ合いはしばらく続きました。
その後、何事もなかったかのように、ポンポンポンとホップしながら元の土管に帰っていったイタチ君でした。
さわやかな秋の陽射しの下、白昼夢でもみたような不思議な気持でしばらく立ち尽くしていました。
胸キュンの再会!
2010年10月19日 / 養蜂場日記
子供の頃の遊び相手にはいろいろな昆虫がいました。クワガタ、カブトムシ、コオロギ、バッタ、クツワムシ、蝶、トンボ等など。ほとんどが、大人になってからもなんらかの形で目にしてきましたが、いくつかは懐かしい思い出の中に埋もれたままになっています。
先日、水田横の農道でレンゲの種まき準備をしている時、半世紀の時を超えて目の前に出現したものがいました、しかも2匹です。懐かしい鮮やかな金属色は昔のままです。
MちゃんやS子ちゃんたちと夢中になって追っかけた懐かしい生き物が、忽然と現われたのです。
子供時代、田んぼの間を流れる自然のままの用水路(現在のようにコンクリートで固めていない素掘りの用水路)は格好の遊び場でした。
どじょう、フナ、ドンコ、ヤゴ、ゲンゴロウなど、水生生物もまた良き遊び相手でした。
遊びつかれて家路につく私たちの前を、つかず離れず一定の距離を飛んでは着地して行く極彩色の虫がいました。
その行動から”ミチシルベとか“ミチオシエ”と呼ばれる甲虫です。学名“ハンミョウ”。
あまりの懐かしさに声を上げた私でしたが、感覚は瞬時に子供時代の田舎にタイムスリップしていました。
家路を急ぐ私たちの前をまるで道案内するかのように飛んでいくこの美しい昆虫の思い出は、大人になってからもしばしば夢にみる懐かしいものでした。
再会する2~3日前、漠然と「もうハンミョウを見ることはないのかなあ」と思った後の出会いでした。何かシンクロ的なものを感じます。
地球環境の悪化は彼らの生存も脅かしているのではないでしょうか?
山里で一日の大半を過ごすようになって数年が経ちましたが、ハンミョウを目にしたのは今回が初めてなのです。
そのままブローチにでも出来そうな美しい昆虫―――いつまでも輝いていてほしい!
黄金の杖?
2010年10月17日 / 養蜂場日記
英語名ゴールデンロッド(黄金の杖・小枝),しかし、日本語ではセイタカアワダチソウ、どこでどうすれ違ってしまったのでしょうか?
有害外来植物の代表みたいな扱いを受け、さらには花粉症を引き起こす元凶の一つとして迫害を受けた時代もありました。
その後、花粉症とは何の関係もないことが明らかになりましたが、秋に咲く他の花々のような好意ある扱いは受けていないようです。
しかし、輝くような金色の花の開花を待ちわびる人々がいます。
養蜂家にとってはまさしく“黄金の杖”、夏の暑さで疲弊した蜂群に蜜と花粉をもたらし、蜂群の士気を高め、勢いをつけてくれる救世主なのです。
養蜂場一帯での咲き出しは例年9月末ですが、今年は10日ほど遅れての開花になりました。
秋晴れの下、金色に輝く花にミツバチたちが群がっています。
嬉々として動き回るミツバチたちを眺める養蜂家の顔もほころびます。
ミツバチたちが巣に運び込んだこの花の蜜はそのまま越冬中の食料として消費されます。長い寒い冬を乗り切るためにたくさんの蜜を提供してくれる有り難い花、その名は“黄金の杖”。
満載・・・秋の味覚!
2010年10月14日 / 養蜂場日記
徳島の友人から宅急便が届きました。開けてビックリ!すだち・栗・さつま芋など、秋の味覚がぎっしり詰まっています。
どれもピカピカ光って、採れたて新鮮そのものです!
早速、栗を茹でました。ゴロンと大粒の栗は、ほくほくして本当に美味です。
以前、私は秋になると、栗を茹でて冷凍庫いっぱいに保存していたものです。(冬眠でもするつもりだったのでしょうか?リスの生まれ変わりかも知れません)
晩ご飯には、さんまを焼いてすだちを掛けました。味がピリッと引き締まって、油の乗ったさんまと絶妙のコンビネーションです。
めったに会えないけれど、いつも暖かい思いで見守ってくれるHさん、ありがとう!感謝して頂きます。
明日はお芋の天ぷらにしようかな・・・とほくそ笑んでいるところです。
養蜂家妻 記