養蜂場日記
大所帯
2013年6月25日 / 養蜂場日記
二重三重になったミツバチです。
ピーク時には4万を越えるミツバチたちが、上下二つの箱に充満するようになります。
出来るだけ仲間の数を増やし、この花の季節にできるだけ多くの食料(蜜)を確保して、群れを存続させようとする本能に基づく結果がこれなのです。
ハチの数が多くなると内部の点検も手間がかかるようになってきます。
温和な群れ、荒っぽい群れ等、一つの生き物のように群れごとに“性格”があります。養蜂家も荒っぽい群れの点検をする時は、いくぶん身構えた気持ちで作業に取り掛かりますが、それでもやっぱり指、腕、時にはお尻など刺されることも少なくありません。しかし、免疫ができているせいか、数秒間痛いだけ、腫れもせず、少し赤くなるだけです。
最近噂になり始めた“蜂毒治療”の少々刺激の強いものを施してもらっているようなもの。養蜂家に長生きする人が多いのも自然に”蜂毒治療“を受けているからなのかも知れません。
卯の花の季節
2013年6月24日 / 養蜂場日記
5月末から6月初旬にかけて、卯の花の季節。
正式にはウツギという樹木の花ですが、“夏はきぬ”で歌われているあの“卯の花”のことです。
養蜂場の周囲には自生のウツギがたくさんありますが、養蜂場の中でも園芸種のウツギを挿し木したものが、数年前から花をつけるようになりました。
今年もまた、たくさんの花をつけて、遠目には“おから”(卯の花)を撒き散らしたように見え、その命名の妙に改めて感心した次第。
そして、毎年のことですが、上空ではホトトギスが“トウキョウトッキョキョカキョク”と連呼しつつ飛び回っていました。
蜂の壁!
2013年6月19日 / 養蜂場日記
耐え難いほどの暑さの日、巣門は溢れかえるミツバチで写真のような状態になります。
5月末から6月中旬にかけてミツバチの数はピークに達し、暑い日にはその何分の一かが外に出て、巣箱の全面はまるで“ミツバチの壁”状態になってしまいます。
夜に入っても暑さが続いていれば、そのままの状態で朝を迎え、夜明けと共に集蜜活動に飛び回るミツバチたちです。
採蜜の日、養蜂家はまだ暗いうちに養蜂場に着いて作業を始めますが、着くと同時に、潮騒のような、雨が降っているような”ザワーン”という音を耳にすることになります。
ミツバチたちが羽を振るわせ、巣箱内の換気とはちみつの水分をとばしている羽音なのです。
毎日がアピセラピー?
2013年6月14日 / 養蜂場日記
養蜂家である主人は、飛び回るミツバチ達にいつも囲まれています。
ミツバチはとても大人しい性質で、特に何も無ければ刺したりはしません。
でも服や体に止まっていることに気付かずに、押し付けたり挟んだりしてしまうと、驚いて思わず刺してしまうそうです。
そのせいで主人は何度も刺されました!
でも慣れたもので、一瞬 「痛い!!」と感じるものの、痛みは直ぐに治まります。
刺された部分が少し赤くなるだけで、腫れることもありません。
「ミツバチに2度刺されると死ぬんじゃないの?」と聞かれることがあります。もしそれが本当なら、この世に養蜂家は一人も存在しないでしょう。
むしろ刺されれば刺されるほど、元気になる気がします。
“アピセラピー”と言って、ミツバチの針で患部を刺して、色々な症状を治す療法があるくらいです。
(ごくごく稀に、ミツバチの毒にアレルギーをもつ人もいますので、注意が必要です。)
また、以前も書きましたが、スズメバチは危険です。1度刺されることにより抗体ができて、2度目に過剰反応してショック状態(アナフィラキーショック)になり、死に至ることがあります。
花粉団子の落し物
2013年6月13日 / 養蜂場日記
両足に大きな花粉団子をつけて飛んで来た働き蜂が、まるで墜落するかのように巣門の前に着地しました・・・そのままの姿勢でじっとして、身動き一つしません。
人間の目には小さな花粉団子、しかし、ミツバチの身体の大きさからすれば、相当の大きさと重量になります。
少なくとも1~2キロの距離を、この大きな荷物を抱えて飛んで来たことになります。
おそらくへとへとに疲れ切った状態で帰ってきのでしょう。
巣門の前で、しばし休憩です。
こうして運ばれてきた花粉ですが、巣門の周囲は勿論、巣箱の中にも落とし物になってしまった花粉団子がたくさんあります。
一度外から帰ってきてヘトヘトに疲れていても、すぐに次ぎの飛行に飛び立つ働き蜂。
今日も新しい花粉団子が次から次ぎに運び込まれています。
パン? ナン? ノン!
2013年6月7日 / 養蜂場日記
今から食事をするわけではありません。
女王がいなくなった群に、新しい女王を導入するための作業中に見つけたものです。
巣枠間の隙間を広げて、女王の入った”王籠”とよばれる小さな金網の籠を、5~6日間つるしておくのですが、その広げた隙間に、こんな大きな”ムダ巣”を作っていました。
この季節は群の発展意欲がすさまじく、ちょっとした隙間でも見逃すことなく、産卵や貯蜜のための巣を作ろうとします。人工的に手を加えていない、彼らの本能のままに作られた自然巣です。
天敵のオオスズメバチがいなかったら、国内でも野生化した西洋ミツバチたちの自然巣が沢山見られるのでしょう。
しかし分蜂などで逃げ出しても、全てオオスズメバチの餌食となり、野生化することはできません。
日本にいる西洋ミツバチは、人間が世話をしてやらないと生きていけないのです。
続々続・採蜜!
2013年6月3日 / 養蜂場日記
蜜枠を引き上げた後の貯蜜箱の中は、写真のような状態です。
貯蜜箱には9枚の巣枠が入っています。
底の方に金網の仕切りが見えていますが、これが隔王板。
これは働き蜂は通れますが、体の大きな女王蜂は通れません。
上の貯蜜専用の箱で産卵させないためです。
続々・採蜜!
2013年6月2日 / 養蜂場日記
巣門の前に振るい落とされ、払い落とされたミツバチたちは、ぞろぞろと一斉に巣箱に帰り始めます。
目にする度に苦笑する光景ですが、まるでターミナル駅の改札口に向かう通勤客の集団に見えてきます。
私もその集団の一員であった時代がありました。
エアコンの効いたビルの中で、時間に追われつつ一日を過ごしていました。
今は大好きなミツバチ達に囲まれ、豊かな自然を満喫しています。 こんな仕事に恵まれて、感謝の毎日です!
続・採蜜!
2013年6月1日 / 養蜂場日記
引き上げた蜜枠にはたくさんのミツバチがとまっています。
このミツバチさんたちにはお引取り願わなければなりません。少々乱暴ですが、振るい落とします。
それでもまだ沢山のミツバチがしがみついています。
こちらは、蜂ブラシといわれる専用ブラシで払い落とします。
柔らかい馬の毛のブラシなので、決してミツバチを傷付けることなく払えるのです。
もちろん払い落とされたミツバチ達は、すぐに巣箱に戻りますので、ご安心を!
明日はその迫力ある写真を載せますよ。