蜂蜜豆知識
金属アレルギーの方でも安心して召し上がっていただける蜂蜜をご紹介いたします。
この蜂蜜は、製造過程で一切の金属を使用していません。
この取り組みは、ある方からのご相談がきっかけでした。
その方は、少しでも金属に触れたものを摂取するとすぐに体調を崩されるため、非常に不便な生活を送っておられました。
お菓子やケーキはもちろん黒砂糖でも、ほとんどの甘いものは製造過程で金属を使用しています。
そのため甘いものを一切食べる事ができず、非常に辛い毎日を送っておられるとのことで「何とかならないでしょうか?」と、そのお母様から切実なご相談を受けました。
通常、蜂蜜は金属の遠心分離機で搾りますし、搾ったあとは金属のタンクに入れて瓶詰めします。これは世界共通の工程です。(蜂蜜は金属に触れると良くないと言われますが、これはほんの数分のことですので、品質に何ら影響はありません。)
一瞬でも金属に触れずに製品化することは、普通に考えれば不可能なことです。
しかし、お母様の切羽詰まったご様子を見て、何とかお手伝いできないかと真剣に考えました。
そして様々な工夫を凝らし、非常に時間と手間はかかりますが、一切金属に触れることなく、美味しい天然の蜂蜜をお届けできる方法を確立いたしました。
昔、蜂蜜は薬として使われていたほど優れた栄養食品です。これで十分な栄養を摂り、お健やかな日々を過ごしていただければ、どんなに素晴らしいことでしょう。
たとえお一人でも辛い状況を緩和するお手伝いができれば、とても嬉しく思います。
中には、ご自分で金属アレルギーと気づかずに不調を抱えて苦しんでおられる方も多いと聞きます。肌の痒みや赤みの他に水疱や小膿疱ができたり、さらには全身の倦怠感や発熱が起こるケースも稀にあるそうです。
ご希望があれば、ご相談に応じますので、ご遠慮なくお電話かメールにてお問い合わせください。
TELFAX 0797-51-7878
mail: info@takarazuka-hatimitu.com
●完全非加熱とは
宝塚はちみつの蜂蜜は完全非加熱です。
日本では蜂蜜を加熱して販売することが常識化しています。
強力な殺菌作用をもつ天然蜂蜜を、なぜわざわざ加熱するのでしょうか?
(赤痢菌なら10時間、大腸菌、チフス菌でも48時間で殺してしまいます)
実は蜜しぼりの際に、蜂蜜に混じってしまう物があります。
一見ゴミのように見えますが、ほとんどが蜜蝋(みつろう)でできた巣のかけらです。それらを取り除くためにフィルターを通します。フィルターの目が細かいほどそれらが取り除かれ、私たちが通常目にする透き通った蜂蜜になります。
しかし一般的に使われている非常に目の細かいフィルターは、なかなか蜂蜜を通しません。水と違って粘度の高い蜂蜜は、目の細かいフィルターを通るのに非常に時間が掛かるどころか、ほとんど通らないのが実情です。私共でも、最初目の細かいフィルターを使ったところ、全く蜂蜜が通過せず困り果てた経験があります。
しかし蜂蜜を加熱するとサラサラになり、フィルターを短時間で通過します。そのために蜂蜜を加熱してフィルターを通すという作業をやっているところがほとんどです。(冷たい飲み物に蜂蜜を混ぜてもなかなか溶けませんが、熱い物には直ぐに溶けるのと同じことです。)
中には低い温度で(40~45℃程度であれば酵素が死なないということを理由に)加熱していても“非加熱”を謳っているところもあります。
しかし、たとえ低温加熱でも天然蜂蜜の本来の良さである栄養価も風味も多少は失われてしまうのではないでしょうか?
私共では“自然のままをお届けする”という信条に従って“完全非加熱”を実現すべく、さほど目の細かくないフィルターを使用しております。そのために、フィルターの間を通過してしまう物があります。
これをルーペで見ながら一つ一つ手作業で取り除いているのです。
これは非常に時間も手間も掛かる作業です。
そのために、ご注文を頂いてからお届けまでかなりお待たせすることがございます。
また細心の注意を払って瓶詰めしておりますが、どうしても取り切れない小さな物は残ってしまいます。 「非加熱・無添加・無加工の本物の天然蜂蜜をお届けしたい」という私共の信条にご賛同下さる方は、天然蜂蜜とは本来こういうものだとご理解頂きますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
※お口に入っても安全無害ですので、安心してお召し上がり下さいませ。
◆ 宝塚はちみつでは採れたあとの調整も一切しておりません。
蜜しぼりをしたら、そのまま順に瓶詰めしていきます。
そのため、同じ種類でも最初に採れたものと後に採れたものとでは
色も味も異なることがよくあります。
また、その年の花の時期や咲き具合によって同じ種類でも毎年違います。
人の手を加えない完全な天然蜂蜜ゆえとご理解ください。
●ミツバチの声を聞いてください
ここ何年か、アメリカで大量のミツバチが次々に消えたというニュースが報道されました。これは一体何を意味しているのでしょうか・・・
いろんな説がありますが、一説には農薬が原因ではないかと言われています。
アメリカなどでは、ヘリコプターで空から大量に農薬を散布します。
そこに放たれたミツバチは農薬まみれになって遺伝子に異常をきたし、本来持っているはずの方向感覚を狂わせて、巣に戻ることができなくなったとも言われています。
それほどミツバチは繊細で清浄な生き物なのです。
( 国内産の蜂蜜からは農薬はほとんど検出されていません )
アインシュタイン博士が言われた言葉ですが「ミツバチが消えたら植物が消え、動物が消え、やがて人間も消えるだろう」と。
ミツバチがいなくなると、地球上の85%の植物が枯れ果ててしまうと言われています。植物が無くなれば人間は生きていくことは出来ないのです。
ミツバチは環境指標生物に指定されています。今の環境がどうなっているかが、ミツバチの生態を観察することによって分かるのです。
今、地球がこんなにも汚染され疲れ果てていることを、ミツバチが身をもって教えてくれているような気がします。
ミツバチの大量死は「このままでは私達だけで無く、人間も地球もみんなだめになってしまうよ!地球は人間だけのものじゃない、地球で生きるみんなのものなんだ!」と言うミツバチからのメッセージかも知れません。
ミツバチ達は誰に言われたわけでもなく、ただただ一所懸命に花々の間を飛び回り、せっせと蜜を集めては巣に運び込みます。この頃は花も木々もとても少なくなって、ミツバチ達は蜜集めにとても苦労していると思います。
一匹の働き蜂が一生の間に集める蜂蜜は、僅かティースプーン1杯です。
そんなミツバチ達の大切な蜜を私達が頂いています。
ですから、私共も精一杯心を込めてお世話をさせてもらっています。
蜂蜜の1滴1滴には、ミツバチからのメッセージが込められているのではないでしょうか・・・蜂蜜を味わいながら、時にはミツバチ達のことに思いを馳せて頂ければ幸いです。
●天然蜂蜜とは
“はちみつは自然の恵み”―――この自然の恵みから何も引かず、なにも足さないのが「天然蜂蜜」です。日本では「天然蜂蜜」の他に異性化糖(みずあめなどの甘味料)を混入したものを「加糖はちみつ」、さらに飲料や食品の加工用に脱色、脱臭したものを「精製はちみつ」という名称で販売することが許されています。消費者の間に無用の混乱を起こしています。
農薬や環境ホルモン、あるいは遺伝子組み換え食品が問題視される中、食品の安全に敏感になった消費者の間で“自然の恵みをそのままいただく”という考え方が主流になってきました。こうした中で見直されているのが「天然蜂蜜」です。
ミツバチが野原や森を飛び回って集めてきた恵みを濃縮して巣に貯めたのものが「天然蜂蜜」。この「超自然食品」が健康志向の消費者の間でブームになっているのは当然のことなのです。
はちみつの甘さはとてもおだやかです。無害な食品である上に、美容効果はもちろん、消化吸収がよく、低カロリーであるため、ダイエット食品としても注目されています。また、研究によって、高い殺菌力、抗菌力があることが証明されています。さらには、病気のもとになっている活性酸素に対して、大きな抗酸化力があることも認められています。
みつばちに採集される前の花蜜は、砂糖水と同じようなショ糖にしかすぎません。しかし、みつばちの体内に入ると、酵素の働きによって消化吸収されやすいブドウ糖と果糖に分解されます。血液に入ったはちみつは、ただちにエネルギー源として働き始めます。肉体疲労はもちろんのこと、ブドウ糖だけをエネルギー源にしている脳の疲労回復にも、はちみつは大きな効果をもっています。さらに、天然蜂蜜にはビタミンやミネラルが豊富に含まれています。はちみつが作られる過程で加えられる花粉に含まれているのです。疲労回復だけでなく、積極的な健康づくりにも役立つのです。
日本におけるはちみつの年間消費量は約5万トン、この中で「国産天然蜂蜜」の占める量は約2,500トンでしかありません。日本で消費されるハチミツのうち、実に95%が海外から輸入されています。しかも、全輸入量のうち約80%を中国産に頼っているのが日本のハチミツ市場の現状なのです。
●百花蜜とは
百花蜜とは何種類もの花蜜が混じりあった はちみつ のことです。季節により、地域により味、香り、色も違ってきます。
宝塚はちみつの養蜂場は、3月末から4月一杯は雑木林を明るく染める無数の山桜、山間の水田をピンクの絨毯に変えるレンゲ、川の土手や河川敷を黄金色に彩る菜の花が主体となって、濃厚な百花蜜を産み出してくれます。
5月に入れば、さらに咲き続けるレンゲ草にアカシアが仲間入りしてきます。勿論、様々な野草もその豊かな花蜜を提供してくれ、風味豊かな百花蜜に仕上がっていきます。
5月下旬から6月上旬にかけては、関西では“フクラシ”とよばれるソヨゴが一気に開花します。ここでソヨゴ主体の上品な味の百花蜜の登場となります。
6月中旬からは山栗の蜜が採れだします。他の百花蜜に比べて、少しクセのある蜜になりますが、鉄分、カルシウムを始めとするミネラルを豊富に含み、アンチエイジの有力食品として評価が高まっています。
このように、宝塚はちみつの百花蜜は採れる時期により、3~4種類に分かれます。
●栗蜜とは
栗蜜は、栗の花から採れる個性的な蜂蜜です。
濃厚な甘みと、ほろ苦い風味は独特のものがあり、その為に好き嫌いが分れるかも知れません。
「一度食べると癖になる、ヤミツキになる」と言う方が多いのが、この栗蜜の特徴でもあり、ハチミツ通の方に大変人気があります。
近年、中国の安い栗に押されて日本の栗は打撃を受け、全国的に栗の木が激減しました。その為に、今や栗蜜は非常に手に入りにくい貴重な蜜になってしまいました。
フランスやイタリアでは、昔からお菓子作りに使われています。その深みのある甘みが、お菓子にまろやかさを与えるのだそうです。
栗蜜は栄養価の点から見ても、素晴らしいものがあります。
カルシウム・鉄分の含有量は他の蜂蜜に比べてはるかに多く、「漢方蜜」と言われるほど滋養の高いものです。
近年、アンチエイジング食品として注目され、女性の健康と美容にも大いに役立つものと期待されています。
チョコレートにも、ミルクとビターがあり、好みが分かれるところですが、ほろ苦さは滋養成分ですので、安心してお召し上がり頂きたいと思います。
●蜂蜜の栄養成分 ~ 蜂蜜に含有されるビタミン類 ~
1ビタミンB1 | |
---|---|
2ビタミンB2 | |
3 | ビタミンB6 |
4 | 葉酸 |
5 | ニコチン酸 |
6 | パントテン酸 |
7 | ビオチン |
8 | ビタミンC |
9 | ビタミンK |
10 | アセチルコリン |
ビタミンの機能は、新陳代謝を調節して、生長、生殖のような生命活動をスムーズにし、微量であっても効果が大きいことに特徴があります。
また、ミネラルと同様、人間の体内では必要量をつくる事ができません。
現代人は、食生活などによるビタミンB1不足が多く、これが、慢性疲労、食欲不振、動悸、めまいのような症状につながります。
葉酸は赤血球をつくるのに不可欠な他、核酸の合成や細胞分裂、発育促進、免疫抗体の生産に深くかかわっています。
パントテン酸が不足すると、抵抗力や免疫力が低下します。
ビタミンCは美容効果や風邪予防など。
また、アセチルコリンは老化防止の働きがあります。
このように多くのビタミンを含む蜂蜜は、アンチエイジングの代表的食品として見なされてきているのです。
●蜂蜜の栄養成分 ~ 蜂蜜に含有されるミネラル類 ~
蜂蜜1kg中のミネラル(mg) | |
カリウム | 205.0 |
ナトリウム | 76.0 |
硫黄 | 58.0 |
塩素 | 52.0 |
カルシウム | 49.0 |
燐 | 35.0 |
珪酸 | 22.0 |
マグネシウム | 19.0 |
珪素 | 8.9 |
鉄 | 2.4 |
マンガン | 0.30 |
銅 | 0.29 |
- カルシウムは日本人にとって不足の目立つ栄養素です。不足すると、骨粗しょう症の原因になる他、高血圧や動脈硬化の原因にもなります。
- カリウムの大きな特徴としては、ナトリウム(塩分)を体外に排出する働きがあります。不足すると高血圧、不整脈、手足のしびれなどをまねきます。
- 鉄分は、全身に酸素を運ぶ重要な役割があります。この為、鉄が不足すると酸欠状態をまねき、貧血、冷え性、疲労倦怠、思考力の低下、発育不全などの悪影響が出てきます。
- マグネシウムは酵素の活性化を担っており、筋肉の収縮を促したり、神経の興奮を鎮める、体温や血圧を調節するなどの作用を持ちます。マグネシウムが不足すると、手足の震え、けいれんが起こり、これが血管で起こると、狭心症や心筋梗塞につながりかねません。
蜂蜜には、このように人体に不可欠な栄養素が、バランス良く含まれていると言えるのです。
●蜜蜂について
豆知識 1-蜜蜂の社会生活
ミツバチという言葉からまず連想されるのは、「勤勉な労働者」を表す、いささか揶揄的な表現の“働きバチ”という言葉ではないでしょうか。蜜蜂の社会は3種類の蜂で構成されています。女王蜂、働き蜂、雄蜂という、それぞれ役目の異なる、4万匹から5万匹の蜂たちで1群が構成されています。この中で朝から晩まで一生懸命に働いて蜜を集めてくるのは文字通り「働蜂」-そうです、群の中で大多数を占める働き蜂のみです。
それでは残る2種類は何をしているのでしょうか? 女王蜂は一群のトップとして指揮命令の役目を担っているのでしょうか? 雄蜂は外敵や侵入者を撃退する兵士的な役目を担っているのでしょうか? 蜜蜂の社会は猿やオットセイのそれとは違うのです。1群に1匹しか存在することをゆるされない女王蜂は、朝から晩までひたすら卵を産むことのみを役目としています。産卵がピークに達する3月末には、多い時には1日で2,3千個の卵を産むといわれています。食べるものは働き蜂が口移しで与えてくれる“ローヤルゼリー”のみです。自分の意思で蜂蜜など他のものを口にすることはありません。誕生して1週間ほどすると、生涯唯一度の交尾飛行に飛び立ちますが、その後は分蜂の時を除いて、箱の中で死ぬまで産卵を続けるという一生を送ります。ちょっと可哀想な氣もします。しかし、女王にはその一群の繁栄と存亡がかかっています。とても重要な存在なのです。
一群に2,3千匹いる雄蜂はどういう仕事をしているのでしょうか? 彼等は大いに食べ、あとはのらくらして日を過ごします。働蜂よりも体が大きくて、食事の量も3倍です。働き蜂が一生懸命集めた蜂蜜をどんどん食べます。刺針がありませんので、害敵に対しても無力です。“勤勉”とか“自己犠牲”などという精神からは程遠い存在です。しかし、こういう“ごくつぶし”もやっぱり必要なのです。雄蜂の活躍の場は女王蜂の交尾飛行の時。やはり、一群の繁栄と存亡を担う役目があるのです。
豆知識 2-働蜂について
群の中で、花蜜の採集をはじめとする様々な労働に従事するのは“働き蜂”です。育児、巣内の清掃、花粉の採集など、生殖と産卵以外のあらゆる仕事に従事します。刺針をもっているので害敵とも勇敢に戦います。ところが働き蜂はすべてメスなのです。産卵しないメスなのです。働き蜂の生涯は文字通り勤労にはじまり、勤労に終わります。朝早くから夕暮れまで、体中花粉にまみれて花から花へ飛び回り、わき目もふらず、ただひたすら花蜜を集めて回ります。春から夏にかけての、蜜集めと育児に忙しい期間の働き蜂の寿命は40日程しかありません。花咲き乱れる中で力一杯働き、短い一生を終えていくのです。
5月の養蜂場の上空には、数万の蜜蜂が飛び交います。蜂達の羽音が一つになって、力強い、ブオーンという音が響いています。紺碧の空に飛び立って行く蜂の群れを心弾む思いで眺めるのもこの季節です。
豆知識 3-女王蜂について
働き蜂と同じメスですが、形態も役目も異なります。体の大きさは働蜂の約2倍、産卵のみという役目柄、生殖器官がいちじるしく発達しています。刺針は働き蜂のそれよりも長く、しかも曲がっています。これは害敵に対して用いるのではなく、同じ群れの中に、他にもう一匹の女王が存在することになった場合に、女王同士の戦いのみに使われる“伝家の宝刀”なのです。人間や他の生き物を刺すことはありません。働き蜂の寿命がせいぜい2,3ケ月なのに対して、女王蜂の寿命は永く、3~4年は生きることができます。一生を通じてローヤルゼリーのみを与えられることで、働き蜂よりも何十倍も長生きできるのです。
豆知識 4-雄蜂について
交尾の時だけ必要な存在です。交尾の時期以外では、全く無用の存在です。何故、群の中に2~3千匹もの多くの雄蜂がいるのでしょうか?もっと少なくても十分間にあうのではないのでしょうか? そこには蜜蜂の種族維持のための強烈な本能が見られます。交尾は必ず空中で行なわれるため、雄蜂の数を増やし、遭遇のチャンスを多くしようという蜜蜂の知恵なのです。雄蜂は主に4~6月流蜜期(蜜を出す花がたくさん咲く時期)に行なわれる分蜂(一種の巣別れ)のために生まれてくるもので、分蜂によって新王となった女王蜂との交尾のためだけに存在するものなのです。新しい女王蜂の交尾が終わり、流蜜期が終ると不要となります。そうなると、無為徒食の輩と見なされた雄蜂たちは邪魔者扱いを受けることになります。働き蜂によって虐待を受けるようになり、ついには巣から追い出されてしまうのです。夏から秋にかけて働き蜂に引っ張り出され、必死に巣門にしがみついている雄蜂を見かける時、何とも言えない気持ちになるものです。
豆知識 5-蜜蜂の変態の四段階
蜜蜂も他の昆虫と同じように、一生に 卵、蛆、蛹、成虫 という四段階の変態を行います。規則的な変態が行なわれ、その必要とする時間も一定です。女王蜂、働き蜂、雄蜂のそれぞれの発育日数は異なります。
卵 | 蛆 | 蛹 | 計 | |
女王蜂 | 3日 | 6日 | 7日 | 16日 |
働き蜂 | 3日 | 6日 | 12日 | 21日 |
雄蜂 | 3日 | 6日 | 15日 | 24日 |
豆知識 6-巣箱の位置を記憶する
蜜蜂の年令はその寿命が短いために“日令”と呼ばれますが、その日令1週間前後になると、はじめて巣門から飛び出して「時さわぎ」という短時間の飛行を行います。名前の由来は、午後1時から3時頃の間に、巣門の周囲が騒がしくなるところから来ています。時さわぎに参加する働蜂たちは、巣門の方に頭を向けて、はじめは低く、次第に高く輪を描きながら飛び、自分の巣箱と周囲の状況、位置関係等を認識、記憶して帰ってきます。この時点で自分の巣箱の位置を記憶し、この後の野外活動のための飛行準備をするわけです。
豆知識 7-蜜蜂の巣は働蜂が腹部から出す蜜蝋で作られる
日令12日頃になると、腹部にある蝋腺が発達してきて蜜蝋の分泌が始まり、巣を盛り上げる造巣作業が始まります。蜂蜜を腹いっぱいに食べた多くの働き蜂の腹部にうろこ状の蝋が分泌されてきます。この卵型の切片は働蜂たちによって噛み砕かれ、口の中で唾液とこれ合わされて造巣に用いられようになります。出来上がったばかりの新巣の美しい色あいにはため息が出るほどです。 “青みがかった象牙色”とでもいうのでしょうか。これが何度も産卵や貯蜜を繰り返しているうちに、茶色から黒褐色まで変色し、硬く丈夫な巣に変わっていくのです。造巣は一年中行なわれるものではなく、蜂の数が増え、巣の中に花蜜がどんどん運びこまれて、蜜を貯蔵するためにより多くの巣が必要となる流蜜期に最盛期となります。
豆知識 8-蜜蜂は清潔好き
最盛期には、巣箱の中で4~5万あるいはそれ以上の蜂が充満して生活しています。常に清潔にしておく必要があります。仲間の死体や小さなゴミなどは口でくわえて外へ運び出し、遠くまで飛んでいって捨てます。晴天の日、ふわふわと綿くずみたいなものが空中を漂っているので、よく見ると2匹の働蜂が共同で運んでいる最中でした。養蜂場から20メートルほど離れた空中で同時にぱっと口から離し、あとはそのゴミだけがゆらゆらと落ちていったのを見たことがありますが、息のあった見事な作業に感心したものです。重たいものは巣門まで引きずり出し、そのまま下に落として捨てます。運び出せない重たいものは、プロポリスで塗り固めて腐らなくします。
豆知識 9-蜜蜂は一度刺したら死ぬ
巣箱への侵入者など害敵を刺した刺針は、働蜂の体から抜け、刺さったまま残ります。そしてその働蜂は数日後には死んでしまうのです。刺針には剛毛がノコギリ状に根元に向かって生えており、害敵の体に刺さった針はピクピクと動くように出来ており、動くたびに逆ブレーキの役割をする剛毛によって、中へ中へと入っていくのです。
まさに命がけで巣を守る働き蜂の特攻精神に脱帽です。
豆知識 10-訪花の一定性
日令20日以降、野外活動に従事するようになった働き蜂は花蜜や花粉の他、巣内の温度を下げるために使われる水、プロポリス用の樹脂を集めたりします。花蜜や花粉を集める場合、一定期間、同じ種類の花にしか通わないという習性があります。これを「訪花の一定性」といいます。この習性は蜜蜂の採蜜活動をより能率的にし、植物にとっても合理的な受粉活動におおいに役立つことになるのです。
豆知識 11-分蜂について
“分封”という表現もあります。巣別れの一種です。5月、雲も風もない快晴の午前10時から午後2時頃、かねて分蜂の準備を進めてきた群では巣門を出入りする蜂の数が極端に少なくなり、ある静寂に包まれます。これが分蜂の前ぶれです。「嵐の前の静けさ」がしばらく続いた後、数十匹の蜂が飛び出して巣箱の周りを飛び回り始めます。そのうち、巣門から飛び出してくる蜂の数が増え、最後には滝のような勢いでほとばしり出るようになります。こうなるともう誰も止められません。全体の約半数が飛び出し、五月晴れの空を乱舞する姿は壮観です。乱舞する大群もやがてまとまり始め、近くの樹の枝などに群がり始めます。最後にはひとつの大きな塊となって静かになります。時々、テレビニュースの画面を賑わすのもこの分蜂群です。 たいていの場合、2~3時間すると、永住の地を目指して一斉に飛び立ちます。
“一群に1匹の女王蜂”という鉄則があります。女王蜂は繁殖のために、王台とわれる特別の巣房に次代の女王蜂になる卵を産みつけます。そして新しい女王が誕生する2~3日前に、旧王は群れの約半数の働き蜂を引き連れて古巣を後にするのです。子孫を殖やすための蜜蜂の知恵であり、結果的には無用の争いを避ける平和的解決法なのです。
豆知識 12-蜜蜂に刺された時
ミツバチに刺された時は、刺された場所に残っている針をすぐに抜かなければいけません。馴れない人が刺されるとひどく腫れることがありますが、何回が刺されているうちに、いつの間にか免疫ができて腫れなくなります。蜜蜂の針毒には神経痛やリューマチに効く成分が含まれているといわれています。刺されたからといってあまり気にする必要はありません。刺された痛みもスズメバチやアシナガバチのそれに比べたら大したものではありません。ただし、蜂毒アレルギーの人は注意する必要があります。そのためには蜂毒の主成分である「ヒスタミン」を中和するために「抗ヒスタミン剤」を飲んでおけば、ほぼ安全といわれています。
●不思議な生き物、蜜蜂。
立春―――寒さの中、心温まる響きのある言葉ですが、養蜂家にとっては忙しい季節の到来を告げる格別の言葉です。梅の花が咲き出す頃、蜜蜂達も活動を始めるのです。彼らは初霜が降りる晩秋に越冬に入ります。1万匹から2万匹の蜜蜂が、蜂球といわれる密集状態になり、それぞれが体をこまかく振動させて熱を出し、巣箱内の温度を摂氏30度位に維持するのです。一致団結して厳しい冬の寒さを乗り切るのです。この立春の頃から、女王蜂は冬の間中断していた産卵を再開します。気温が上昇するにつれ、群全体に活気が戻り、女王蜂の産卵も3月末にはピークに達します。1日に約二千個、時には三千個程の卵を産むことになります。
4月に入り、春も本格化する頃、溢れんばかりに増えた5万匹ほどの蜜蜂は、咲き乱れる花々の間を飛び交い、香しい蜜を集めてくるのです。文字通り”働き蜂”として、早朝から夕方まで、一心不乱に蜜を集めて回ります。春から初夏にかけて、激しい労働に明け暮れた蜜蜂達は、2ヶ月ほどでその一生を終えます。体長2センチほどの蜜蜂が、その生涯で集める蜜の量は、テイースプーン1杯ほどのものです。
一つの群は約5万匹の蜂で成り立っています。1匹の女王蜂、約2千匹の雄蜂、そして残りは働き蜂として一群を支える雌蜂です。女王蜂は体長約3センチ、その一生は産卵のみに費やされ、寿命は3年から4年、中には5年というものもいるそうです。平均寿命80歳の人間世界に例えると、2000歳ほどになります。この長寿の秘密は”ローヤルゼリー”にあると言われています。一生を通じて、働き蜂が口移しで与える”ローヤルゼリー”が、彼女の唯一の食べ物です。ビタミンやミネラルに富み、アンチエイジの切り札ともいえる”パントテン酸”がたくさん含まれているローヤルゼリーの人気の秘密がここにあります。
働き蜂の行動範囲は3-4キロ四方です。毎時30キロで飛行し、花と巣箱の間を往復します。有力な蜜源を見つけた働き蜂は、”8の字ダンス”と言われる独特の動きで、仲間にその場所を教えます。その動きの中で「太陽の位置」「巣箱の位置」そして「蜜源の方向」「蜜源までの距離」が表現されるのです。
4月中ごろから急に増えてくるのが雄蜂です。秋口には姿を消し、桜が咲く頃に現れる という不思議な存在。働き蜂より一回り大きく、ぶらぶらしながら何もせず、働き蜂が集めた蜜をどんどん食べる大食漢。男のくせに”針”ももっておらず、外敵にも無力。何のために存在するのでしょう?
春から夏にかけては”繁殖”の季節です。新しく誕生した女王蜂は、風もない快晴の日を選んで、生涯ただ一度の婚姻飛行に飛び立ちます。その時が彼等の活躍の時なのです。 お盆を過ぎる頃になると、彼等は働き蜂によって巣箱から追い出されます。手足を引っ張られながら、必死に巣門にかじりついている雄蜂を見ると、”哀れ”を通り越して”同情”を感じるのもこの頃です。
いろいろな蜂蜜があります。レンゲ蜜、アカシア蜜などはとてもポピュラーなものです。他にも菜の花蜜、クローバー蜜、トチ蜜、くり蜜、そば蜜などいろいろなものがあります。ベトナムなどはコーヒーの花から採れる蜜を「コーヒー蜜」として輸出しています。東ヨーロッパの「ハーブ蜜」もまた有名です。これらは一種類の植物から採れる蜜ですが、他に何種類もの蜜が、蜜蜂によってブレンドされた”百花蜜”というものがあります。地域や季節により、味や香りが違います。濃厚な風味と栄養価の高さで、人気上昇中の蜂蜜です。特に雑木を中心にした山林地帯で採れる蜂蜜は”漢方蜜”といわれるほど滋養に富み、昔は高貴な民間薬として重宝されていたようです。カルシウムや鉄分の豊富なクリ蜜は、アンチエイジの有力食品として高値を呼んでいます。砂糖の半分というカロリーの低さも、注目されるところであり、ダイエットやメタボ対策での頼もしい味方になることと思います。
蜂蜜の主成分はブドウ糖と果糖です。摂取後すぐに吸収されて血液の中に入り、効果を発揮します。肉体疲労は勿論、勉強や仕事での頭脳の疲労にも、即効性があります。大汗をかく夏は、美味しさを楽しみながら、失われたミネラルの補給をすることができます。 塩分(ナトリウム)を体外に排出するカリウム豊富な蜂蜜は、高血圧予防の有力なツールとして、使われています。
古くから、日本のみならず、世界各地で民間薬として重宝されている蜂蜜には、まだ解明されていない神秘の部分が沢山残されています。神秘な生き物が、その神秘の世界でつくる、神秘な食べ物、それが天然蜂蜜です。